札幌温泉旅行、入浴前後の肌刺激を減らすルーティン

札幌から日帰りで行ける定山渓(じょうざんけい)は中性に近いナトリウム-塩化物泉、車でさらに足を延ばす登別(のぼりべつ)は酸性・硫黄泉を含む9種の泉質が混在しており、同じ「札幌の温泉」でも肌に触れる刺激は異なります。この違いは感覚で判断するのではなく、環境省が定める液性区分と各施設が掲示する温泉分析書の数値で確認することができます。それに応じて、入浴前に確認すべき項目や入浴後に洗い流すかどうかが変わってきます。
定山渓と登別、泉質からして違う
定山渓温泉地区の代表的な源泉である鹿の湯33号泉は無色透明のナトリウム-塩化物泉で、公式ホームページはこの温泉を「中性の良質な温泉」として紹介しています。塩分が入浴後に肌の表面に残り、汗の蒸発を遅らせる性質から熱の湯と呼ばれ、刺激は比較的少ない方です。
一方、登別は食塩泉・硫黄泉・酸性泉・鉄泉など複数の泉質が一つの温泉街に集まっています。登別万世閣公式案内によると、硫黄泉は筋肉痛・皮膚病などに用いられてきた泉質です。香りが強く、地域観光情報(悠悠北海道)は酸性泉について殺菌力が強い反面、肌が弱い人は入浴後に真水で洗い流すことを勧めています。つまり同じ札幌近郊であっても、「定山渓=比較的穏やか」「登別の酸性・硫黄系=刺激がある方」と分けて捉える方が実測に近いといえます。
pHで刺激の強さをあらかじめ見積もる
環境省が定める「鉱泉分析法指針(2014年改訂)」は、温泉の液性をpH値によって5段階に分けています。pH3未満は強酸性、3以上6未満は弱酸性、6以上7.5未満は中性、7.5以上8.5未満は弱アルカリ性、8.5以上はアルカリ性です。この基準は、施設ごとに掲示された温泉分析書のpH項目を読み解くための根拠となります。
日本温泉協会の温泉分析書解説ページも同じ区分を案内しており、pH値が低いほど(酸性が強いほど)肌への刺激が大きくなると説明しています。札幌旅行中に複数の温泉を巡るなら、脱衣所や浴場入口に掲示された温泉分析書でpH項目だけでも先に確認すれば、その日の刺激の度合いをある程度見積もることができます。
入浴前:公式マニュアルが求める最低条件
- 北海道保健福祉部の公式案内に従い、湯に入る前に手足からかけ湯をして温度に体を慣らし、体を洗い流してから入浴します。
- 食事の直後・直前、飲酒後の入浴は避け、運動直後は30分ほど休んでから入ります。
- 起床直後のように体が乾いた状態で入浴する場合は、あらかじめコップ1杯程度の水を飲んで脱水を防ぎます。
- 同案内は酸性泉・硫黄泉の泉質別禁忌症として皮膚または粘膜が過敏な人、高齢者の皮膚乾燥症を明示しており、肌が敏感な方であれば入浴前に掲示板で泉質を先に確認するのが安全です。
入浴中:温度・回数を刺激に合わせて調整する
北海道保健福祉部と日本温泉協会の公式案内は、高齢者、高血圧・心臓病の患者、脳卒中経験者に対して42度以上の高温浴を避けるよう勧めています。また、入浴を始めてから数日間は1日1~2回に制限し、体が慣れてから2~3回まで増やす方式を提示しています。
同資料は、温泉利用を始めておよそ3日から1週間の間に皮膚炎を含む「湯あたり」の症状が現れることがあると案内しており、こうした症状がある間は入浴を中止するか回数を減らすよう明示しています。酸性・硫黄系の温泉を1日に何度も巡る旅程であれば、この基準を旅行中に適用してみることができます。
入浴後:洗い流すかどうかは泉質で決める
| 区分 | 定山渓(ナトリウム-塩化物泉) | 登別(酸性・硫黄系) |
|---|---|---|
| 液性の傾向 | 中性に近い | 酸性区間を含む |
| 入浴後の洗い流し | 塩分を残して保温効果を保つのが一般的 | 肌が弱ければ真水で洗い流すことを地域案内が推奨 |
| 注意が必要な人 | 大きな刺激は少ないが、傷のある部位は確認 | 皮膚・粘膜過敏者、高齢者の皮膚乾燥症は禁忌対象として明示 |
定山渓のように塩化物が主成分の温泉は、成分が肌に膜を作り保温効果をもたらすため、あえて洗い流さないのが一般的な利用法として案内されています。反対に、登別の酸性・硫黄系のように刺激のある泉質は、肌が弱い人に限り入浴後に真水シャワーで成分を洗い流すことが、地域観光情報において推奨事項として紹介されています。いずれの場合も、水気を長く残さずタオルで軽く拭き取る程度が共通して通用します。
入浴前に確認すべき掲示物、そして基本マナー
温泉法第18条により、公衆浴用に供される温泉施設は、成分、禁忌症、入浴上の注意事項を利用者が見やすい場所に掲示する義務があります。札幌・定山渓・登別のいずれの施設でも、脱衣所や浴場入口でこの掲示物(温泉分析書)を確認すれば、その日利用する湯の泉質と禁忌症をその場で判断することができます。
日本政府観光局(JNTO)の公式入浴マナー案内は、湯に入る前に必ずシャワーで体を洗い、髪が長い場合は結んで湯に髪が触れないようにすることを基本マナーとして提示しています。この二つ、すなわち「掲示された泉質の確認」と「入浴前の洗浄」は、札幌のどの温泉に行っても共通して守るべき最低条件です。
参考: 北海道 保健福祉部 - 温泉入浴施設において安全に入浴するための注意事項
参考: 定山渓 鹿の湯 公式 - 温泉
参考: 登別万世閣 公式 - 登別温泉
参考: 悠悠北海道 - 登別 九種の泉質
