
日本の温泉・旅館のタトゥー対応と貸しタオル、施設ごとに異なる
日本の温泉・旅館でタトゥー(入れ墨)があると入浴を断られるかどうかは施設によって異なり、これを全国一律で義務づける法規は存在しない。公衆浴場法にも旅館業法にも、タトゥーを理由に入浴を拒否せよという条文はなく、観光庁も2016年の発表で、施設ごとの自主判断が前提であることを明記したうえで対応事例を示すにとどめている。タオルについても、宿泊客でない限りほとんどの場合無料ではなく、レンタル料金は施設によって250円台から500円台までばらつきがある。以下は、確認可能な公式資料に基づいて整理した実際のルールと持ち物である。
タトゥーによる入浴拒否は法律の規定ではなく施設ごとの自主方針である
日本の厚生労働省が2016年3月18日に全国の自治体の生活衛生担当課へ送った事務連絡は、入浴施設のタトゥー関連対応が個々の施設の裁量に委ねられていることを前提に作成されている。公衆浴場法・旅館業法のいずれにも、タトゥーを理由とした入浴拒否を規定または禁止する条文はない。つまり、同じ温泉地の中でもA施設は受け入れ、B施設は拒否するという状況が、法的にはどちらも成り立ってしまう。
観光庁も同時期に発表した公式案内で、タトゥーが衛生上の問題にはならないと明示しつつも、最終判断は施設に委ねられるという前提を維持した。したがって旅行者の立場からは、「温泉のタトゥー政策」という単一のルールを探すのではなく、訪れる個々の施設の案内を確認することが唯一確実な方法となる。
観光庁が示した実質的な通過条件3つ
観光庁は2016年の発表で、外国人旅行者のタトゥーに関する対応のために施設が参考にできる対応事例を3つ例示した。
- タトゥーの部分を防水シールなどで覆っている場合、またはタトゥーの大きさが手のひらサイズ程度で他の入浴客に威圧感を与えない場合は、特別な対応を必要としない。
- 家族連れの少ない時間帯の入浴を案内する。
- 浴場が複数ある施設は区域を分けて案内するか、貸切風呂や専用浴室付きの客室を案内する。
この条件はあくまで強制力のない推奨事例である。多くの施設が「手のひらサイズ以下+カバーシール」を事実上の通過ラインとして運用しており、旅行者が事前に確認する際に参考にできる最も具体的な条件と言える。
町全体での受け入れと個別施設の拒否が混在している
兵庫県の城崎温泉は、観光協会の公式アカウントを通じて、町内にある7つの外湯(共同の外部温泉)すべてがタトゥーフレンドリーであると公式に発表している。宿泊客は各旅館で無料の外湯利用券を受け取り、日帰り客は各外湯で入浴券を購入して利用できる。ただし、これはあくまで町の共同外湯に限定した案内であり、個々の旅館内部の大浴場はタトゥーを禁止しているところも多いため、別途確認が必要である。
群馬県の草津温泉を代表する施設である大滝乃湯・湖畔の湯・西の河原露天風呂(草津三湯)の公式FAQでは、タトゥー・入れ墨の有無にかかわらず入館・入浴を断ることはないと明記されている。ただしこの案内はあくまでこの3施設にのみ適用されるものであり、草津温泉全体に適用される統一方針は存在しない。同じ温泉地であっても施設ごとの問い合わせが必要という原則が、ここでも確認できる。
タオルは基本的に有料、施設ごとの料金比較
日帰り温泉施設では、タオルはほとんどの場合無料提供ではなく、有料のレンタルまたは購入品目となっている。レンタルの有無や価格も施設によって異なるため、料金表を確認しないまま行くと、現地で想定以上の追加費用が発生することがある。
| 施設 | タオルレンタル | 価格 |
|---|---|---|
| 草津三湯・大滝乃湯 | レンタルセット(フェイス+バスタオル)あり | 250円、購入の場合オリジナルフェイスタオル380円・バスタオル1,700円 |
| 箱根湯寮 | レンタルなし、購入のみ可能 | バスタオル550円・フェイスタオル300円(大湯入浴券+レンタルタオルセットの特価は別途販売) |
旅館の宿泊客は、客室に備え付けのタオルを持って大浴場に入るのが一般的である。ただしこれも施設ごとの備え付け方針によって異なるため、予約時に大浴場用タオルの提供有無を別途確認しておくのが安全である。
出発前の準備チェックリスト
- タトゥーがある場合は、宿泊予約前に施設へ直接問い合わせて入浴可否を確認する。観光協会単位で公式方針を示している城崎温泉のような地域でない限り、同じ温泉地の中でも施設ごとの差が大きい。
- タトゥーが小さい場合は、手のひらサイズ以下に隠せる防水カバーシールを用意する。ドン・キホーテなどでは、防水仕様のタトゥーカバーシール(「肌かくシート」系の商品、irodoreブランドのドン・キホーテコラボ商品など)を購入できる。
- 拒否される可能性がある施設の場合は、貸切風呂や専用浴室付きの客室を事前に予約して代替手段を確保しておく。
- 日帰り温泉を利用する場合は、料金表でタオルのレンタル・購入の有無と価格を事前に確認し、自分のタオルを持参すればレンタル代を節約できる。
参考: 観光庁 - 入れ墨(タトゥー)がある外国人旅行者の入浴に関する対応について
参考: 厚生労働省 - 入れ墨があることを理由とした入浴拒否に関する事務連絡(平成28年3月18日)
参考: 草津温泉 大滝乃湯【草津三湯】よくあるご質問(公式)
参考: 城崎温泉観光協会【公式】 - 外湯タトゥーフレンドリー案内
参考: 箱根湯寮 料金・営業時間(公式)